ボーリング孔を利用した透水試験
Measuring Permeability in Single Borehole
ボーリング孔を利用した透水試験は、地下水面下に堆積する砂質地盤の透水係数を求めるために行います。
試験は、測定対象地盤の中に測定用パイプを設置し、測定用パイプ内を清水洗浄後、測定用パイプ内に水を注入したり、あるいは水を汲み出したりして、その水位回復の状況を測定するものです。
得られた透水係数は、地盤の透水性の判定や地盤掘削時の補助工法の検討などに用いられます。
試験方法は、地盤工学会によって規格化され、次の２種類があります。地盤の透水性などによって使い分けられています。
- （１）非定常法
- 孔内水位を一時的に低下または上昇させ、その水位変化を経時的に測定して、地盤の透水係数を求める方法
- （２）定常法
- 揚水または注水して、孔内水位と流量が一定となったときの値を測定して、地盤の透水係数を求める方法
試験の手順は次の通りです。測定パイプ設置時には、測定パイプ外周を地盤と緊密に密着させ、外周を伝わって水が流れ込まないようにするほか、測定パイプ下端の土を乱さないように注意する必要があります。
- 試験深度の 0.5m 手前までコアチューブで掘削する。
- 測定用パイプ（孔径 50mmm のガス管）を外水位と十分シール出来るように注意して試験深度まで打設する。
- 約 0.5m の透水区間を掘削し、清水で十分洗浄する。
- 清水を注入し、経過時間と水位低下量を測定する（注水法）。または、水位面を低下させ、経過時間と水位上昇量を測定する（回復法）
- 平衡水位となるまで測定する。
透水係数の算定式は、透水試験の条件（非定常法・定常法）や帯水層の状況（不圧帯水層・被圧帯水層）によって異なります。
不圧帯水層に対し、非定常法によって行った場合には、得られた時間～地下水位曲線（ logS－t 曲線）を描き、このグラフから透水係数 k を算定します。
- k = 0.66d²log(2L/D) m/L
- d ：測定パイプの内径 (cm)
- D ：試験区間（孔）の直径 (cm)
- L ：試験区間の長さ (cm)
- t ：経過時間 (s)
- m ：logS－t 曲線の直線部の勾配 (S-1)
透水区間での目詰まりなどによって、得られた透水係数が実際よりも小さいことがあります。他の試験結果（粒度試験、揚水試験）との比較を行い、総合的に透水係数を評価することが望ましいです。