地盤の間隙水圧は、盛土や構造物の沈下、安定性、地すべり対策、地盤掘削時における排水工法の検討などに必要な地盤情報です。とくに、地盤の有効応力モデルを検討する際には、間隙水圧の値は必要不可欠です。
このほか、盛土や地盤掘削に伴う長期的な安定性を確保するため、工事中の計測管理(情報化施工)として、間隙水圧の測定が行われているほか、地震時の液状化を検討するため、動的な間隙水圧の測定も実施されるようになりました。
地盤の間隙水圧の測定手順は、「ボーリング孔を利用した電気式間隙水圧計による間隙水圧の測定方法(JGS1313)」として地盤工学会によって基準化されています。
測定機器は、通常、電気式間隙水圧計・コード・指示計で構成されています。
電気式間隙水圧計は、水圧のみが計測できる構造の圧力計で、圧力変換器によって水圧を電気量に変えるものです。予想される間隙水圧の大きさに応じて、必要な容量と精度が必要で、受圧部はフィルターなどを備えた構造になっています。コードは、電気量を指示計に伝達できるものを用います。指示計は、電気式間隙水圧計に対応した機種のものを用います。
「押し込む方法」では、間隙水圧計本体にロッドを次々と緊結しながらゆっくりと静かに孔内に挿入し、孔底に達したならば、静かに所定の深さまで押し込んで設置します。
「埋め戻す方法」では、所定の深度まで掘削したボーリング孔の孔底に間隙水圧計を静かに降ろし、砂などのフィルター材を投入して埋め戻し、ベントナイトなどのシール材を用いて十分に遮水します。
間隙水圧は、無負荷状態の指示計による読み値D0を記録した後、指示計による読み値Dと、設置直後からの測定設置時間を記録し,間隙水圧が平衡状態になるまで経時的に測定します。この平衡状態の値が間隙水圧となります。
一般に、間隙水圧計本体の圧入時に発生した過剰間隙水圧の消散に時間を要するため、平衡状態になるには粘性土で24時間以上の時間がかかりますが、砂質土は短時間で平衡に達します。